私にとって、初めて生きものを飼うという行為をしたものは、金魚でした。
そして、突如としてその寿命を終えたものを、土に埋め、弔うという行為を意図的におこなったものもまた金魚でした。
夏祭りなど屋台の金魚、ついもらって帰ったもののあっという間にいなくなったということが、生き物の死に向き合う、ということの初めての経験としてあげられる人も少なくないのではないでしょうか。
そんな金魚の群泳を彫ったひとつの版木から摺った版画を、組み合わせたりコラージュしたり、切り抜いたり、様々な素材と組み合わせたりしながら、つくっているシリーズです。
一見そのどれもが、まったく別の作品でありながら、どこかに同じ版から作られた絵が入れこまれ、親子、兄弟、従姉弟、のような関係を築いています。
一瞬の存在であったものたちは、そうして場所を変えながらも、繰り返し繰り返し摺り現れ続けるのです。
優雅に自由に泳ぐかのような金魚たち、しかし、どこを見ても実はみな同じ金魚たち。
単にパターンに過ぎない彼らは、どこにも動けない雁字搦めな世界の中で、なんとか違った姿になれまいかとあがき続ける。
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